青年時代は金がないくせによく旅行をした。いちばんよく使った宿泊施設は、無料で泊まれる「道ばた」だ。公園や廃線の駅、神社の境内、橋の下などにもぐり込んで寝る。
眠りにつくのは、深夜、人通りが途絶えてからだが、暗くなってからだと場所探しが難しいから、日暮れまでには寝床を見つけなくてはならない。そのせいか、今でも旅先で日が暮れかかると、なんとなく気が急いて心細くなるクセがついた。
夕暮れは一日の終わりを告げる色だ。もしかしたら一生の終わりにも、こんな色がみえるのだろうか。そのとき、なんとなく気が急いて心細くなってなければいいんだが。