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蝉の鳴く淵

 芭蕉が「閑(しづ)かさや岩にしみ入る蝉の声」と詠んだのは、それなりに雰囲気のいい場所だったんだろう。 蝉なら僕の家の前でも朝から晩まで鳴いてるが、こんなところで鳴かれても暑苦しくてやかましいだけだ。 いっそ殺虫剤で駆除してやりたいくらいだが、我慢している。哀れな蝉どもは、地上に出てからほんの数日しか生きられない。その間くらい、鳴きたいだけ鳴かせてやろう。

 ところで冒頭の句だが、この蝉がニイニイゼミかアブラゼミかで騒動になったことがあるらしい。 よってたかって大論争をしたあげく「ニイニイゼミ有利」でいちおう決着したんだそうだ。
 短い命を必死に鳴き暮らす蝉に較べれば、人間はずいぶんヒマなことをやって遊んでいるものだ。

2005.08.14

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