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花の散る道

 近所の廃屋に椿が咲いている。人の気配のないひっそりした庭に凄まじく紅い花がひらいたと思うと、たちまち散って地べたを真紅に染める。
 ふだんから気にも留めないボロ家だから、たとえ花が咲いても素通りだ。でもいざ散るとなると、とたんに惜しくなって立ち止まり、今さらのようにしげしげ眺めてみたりする。

 失ってみるまで、ものの価値はわからない。ボロ家の椿に毎年ちゃんと教わっているはずなのに、翌年にはすっかり忘れ、いつも同じことを繰り返してしまう。

2006.03.23

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