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花の向こう側

 「花屋の切り花は争いごとをしないので人間よりも上等だ」という意味の歌が流行ったことがある。でも花屋の花なんざ死骸なんだから争わなくて当然で、そもそも無生物と生物を較べるのが間違っている。もし茶碗やボールペンがあちこちで争いごとをしていたら、家じゅうやかましくてたまったものではない。

 しかし花は死んでなお美しい。人間もそうであってほしい。花は生きていても静かだ。人間もそうであってほしい。どっちにしても花のほうが人間より上等には違いない。だからこそ人は憧れをこめて花を贈るのだろう。

2005.06.04

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