top of page
花とINRI

ヨーロッパの町はずれには、ときどきぽつんとキリストの磔刑像が現れる。ちょうど日本のお地蔵さんみたいなものだろう。たいてい団子の代わりに花が捧げられている。
オーストリアの田舎町で見かけたこのキリスト像は、紅い花をつけた樹をバックに、とりどりの草花でいっぱいに飾られていた。まるっきり信心のない僕でさえ、思わず世俗に汚れた両手を合わせたくなるような清い像だった。
キリスト磔刑図には「INRI」の銘がつきものだ。これは「ユダヤ人の王、ナザレのイエス」というラテン語の略だそうだ。しかし原文の綴りが長くて絵に描き込むのがめんどくさいもんだから、後世の画家たちがたった4文字に省略してしまった。画家の信心なんて怪しいものだ。
2005.09.17
bottom of page








