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窓際ライブラリー

 小学生のとき芥川龍之介の『蜘蛛の糸』を読んだ。でも、ただ気持ち悪いだけだった。中学で『トロッコ』を読んで、ちょっといいかなと思った。高校で『羅生門』を読み、初めてこれは凄いなと気づいた。
 三島由紀夫の『潮騒』は、学生時代に読んだが退屈で捨て置いていた。このあいだ、なんとなく手にとって読み直し、清潔で美しい文に感嘆した。が、かつては肌身に迫るリアルさだった主人公の初恋は、今ではまるで古いおとぎ話のように時の彼方に遠くかすんでしまっている。

 本との出会いはタイミングがモノをいう。歳をくって初めてわかる本もあれば、歳をくうとかえってわからなくなる本もある。ただ、歳をくおうがくうまいが、ちっともわからない本のほうがずっと多いんだが。

2009.02.02

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