top of page

窓あかりの路地

 イタリア映画『ニュー・シネマ・パラダイス』の主人公トトは、女の窓の下に夜ごと立ち続けて恋を実らせようとする。「女の窓の下に百夜立ち続ければ男の恋が成就する」という言い伝えそのままに行動した結果だ。
 トトがそんなに長く窓の下にいられたのは、恋心と根性のおかげに他ならないが、ストーカーに甘かった当時の世相のおかげでもあるだろう。今だったらたちまち通報され、近所の交番でこってり油を絞られるはずだ。

 真夜中、窓の下に甘いロマンスが漂っていた時代は遠い昔語りになった。現代の窓の下には、せいぜい背中を丸めてモバイルパソコンを抱えたあやしい男くらいしか漂っていないのだ。

2008.09.21

bottom of page