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百年の停泊

小学校の修学旅行で伊勢に行き、鳥羽でぶらじる丸に乗船した。といっても、ぶらじる丸はふつうの船ではない。コンクリで海底に固定した船を博物館にしたもので、走らないどころか、波に揺れさえしない。動かない船なんてつまらないと、ひどくガッカリしたものだ。
以来、ぶらじる丸は金輪際動かないものと思っていたが、10年ほど前に「鳥羽を出航した」というニュースを聞いて耳を疑った。どうやら鳥羽での役目を終えて中国まで曳航され、広東省あたりで再び海上博物館として活躍しているらしい。
大きな船は、人と荷物のほかに、外国への憧れを載せている。だからすっかり機関の動かなくなったぶらじる丸にも、まだ憧れを運ぶ仕事だけは残っていたのだろう。
2008.06.21
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