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波紋にゆれる庭

 鳥羽水族館名誉館長・中村幸昭さんの著書『マグロは時速160キロで泳ぐ』には、いろんな魚の生態が書いてある。そればかりか「カワハギは頭から一気に皮を剥がして調理する」だの、「春にとれるトビウオは脂がのって、刺身にも塩焼きにも、湯豆腐に入れてもいける」だのと、いろんな魚の食べ方までが解説されていた。
 もし動物園の園長がサルやウサギの調理法を書いていたら、多くの人が残酷だと思うだろう。反対に植物園の園長がサクランボやイタドリの食べ方を説明しても、誰もなんとも感じないはずだ。水族館の館長は、その点ちょっと微妙なポジションだ。

 だが哺乳類を食うことと魚を食うことと植物を食うことに、どれほどの違いがあるだろう。どっちにしろ人間は他の命を食って生きるほかはない。もし食ってはいけない生き物を決められるとしたら、せいぜい「生きてる人間を殺してまで食うのはなるべくやめよう」というくらいがやっとのことかもしれない。

2006.06.14

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