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木漏れ月

 小学校への通学路に小さな森があった。住宅地の中だが、やたら鬱蒼としていつも山鳩が啼いていた。昼はともかく夜は通るのが怖くて急ぎ足で通り過ぎていた。たまに木々の枝の合間から月が見えると、なんだか凄まじいような気もしたし、影絵のようで美しくもあった。
 このあいだ久しぶりに通ったら、森はすっかり伐られてなくなり、代わりに小ぎれいな住宅が何軒か建ち並んでいた。もう山鳩はいないし、もちろん怖くもない。

 ちなみに「木漏れ月」という言葉は、ただしい日本語の中にはない。子ども時代の僕の造語だ。

2005.05.01

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