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月のアクアリウム

 小さい頃、ドブ川で金魚を十尾ほどつかまえたことがある。水槽に放すと色とりどりで美しく、いつまで眺めていても飽きない気がした。でも実際にはすぐ飽きた。僕はまもなく水槽を眺めなくなり、魚の世話もしなくなった。

 やがて水は汚れて濃緑色になった。可憐だった魚は大成長を遂げ、とてつもない巨大魚と化していた。金魚だと思ったのは、どうやら鯉の子供だったらしい。暴れる魚が水槽から飛び出し、ビチビチ床を跳ね回るようになると、なんだか怖くなって全部まとめて近所の池に捨ててしまった。
 それ以来、魚を飼ったことがない。縁日なんかで金魚を見つけると今でもつい欲しくなるが、ひょっとして巨大化するとイヤだから飼わないことに決めている。

2005.06.27

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