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星をさがす

幼い頃はよく星や宇宙の本を読んだ。土星は比重が小さいから水に入れたらぷかぷか浮くだの、宇宙空間は馬の鞍型や球形に曲がっているから超高倍率望遠鏡で覗けば自分の後頭部が見えるだの、亜光速で飛ぶロケットの乗員は放射線被曝でみんな死んでしまうだの、天文学や物理学の見地からいえば、そりゃまあたしかにそうかもしれないが、お世辞にもロマンチックとはいえない本ばかりだった。
おかげで僕は、きらめく星空にすらロマンを感じない殺伐たる大人になってしまった。たまに夜空を見上げると、星にまつわるいにしえの神々の伝説に思いを馳せるよりも、丸い輪をかぶってぷかぷか水に浮かぶ土星のことを考えてしまうのだ。
2005.09.24
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