夕飯に招かれて行った家で、よちよち歩きの子どもが出迎えてくれた。ちょっと前はまだ猿の子のようだったが、片言とはいえ言葉を話し、なんとなく人間らしい体裁を整えてきた。電車のおもちゃが大好きらしく、よだれまみれの小さな電車を見せびらかしてはやたら無邪気に笑っている。
僕の知人は、この子の祖父にあたる。彼は文房具が大好きで、よく妙なボールペンなんか見せびらかしてはやたら無邪気に笑っていた。そして数年前に病にたおれ、孫の顔をみることなく世を去った。
現世で再び会うことのなくなった知人だが、あの無邪気な笑顔だけは、今もそのままこの世に残って生きている。