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古い診察室

昔かかりつけだったK医院にはしょぼくれたおじいちゃん先生がいた。いつもふんふんうなずきながら患者と世間話をしてるだけで、注射さえめったにしない。
学生の頃、診察を終えて服を着ようとしたとたん、先生に叱りとばされたことがある。きみのシャツの着方は乱暴だ、一時が万事、何から何まで粗暴だとみえる、もっとまわりを思いやり、穏やかに行動しなさいと説教された。そのときは、なんだクソじじいとムカッ腹を立て、門柱に一発ケリをくれて憤然と帰ってきてしまったが、今でもときどきその言葉を思い出し、自分を省みることがある。
最近では、こんな古くさい器具を並べた診察室はめったにない。水銀柱式の体温計も色ガラスの万能缶も、病院から姿を消してしまった。それと一緒に、あんなおじいちゃん先生もいなくなってしまったのかもしれない。
2006.03.07
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