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凍てつく翼

 少年は空に憧れる。かつては僕も、発泡スチロールの板を両手にくっつけてバタバタはばたいたり、焚き火の煙を吸い込んで浮き上がろうとしたり、竹と新聞紙で作った巨大なグライダーにつかまって岩から飛び降りたりと、空を飛ぶためのあらゆる工夫と努力を惜しまなかった。

 でも結局ぜんぜん飛べなかった。不幸な結果だが、もし何かの拍子にうっかり飛べてしまっていたら、墜落して、もっと不幸な目に遭っただろう。飛べなくてむしろ幸福だったともいえる。

2008.09.14

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