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パリへゆく道

 道にはさまざまな色がある。ひたすらパリをめざしてたどったフランスの田舎道、落雷におびえながら身を縮めて走った豪雨の山道、真夏の日射しにまぶしく輝いていた海辺の国道……。これまで走ってきたいくつかの道の色が、今も思い出に刻みつけられている。

 アスファルトには本来これといって色らしい色はない。明るくも暗くもなければ、温かくも冷たくもない平凡な灰色だ。だが、だからこそ天候や光のかげん、ときには気分ひとつで、その色が千変万化するのだともいえる。
 旅の思い出を鮮やかに焼き付けるためには、アスファルトにはなるべく色がないほうがいい。いっけん無愛想にみえるあの灰色は、じつはいちばんロマンチックな色なのかもしれない。

2007.11.12

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