top of page

ダムに沈む月

 ダム湖のキャンプ場で遭難事件に出くわしたことがある。山に消えた人を捜す警察や消防、村人たちで大がかりな捜索隊が編成され、湖畔はにわかに騒然となった。行方が知れないまま日が落ちると、捜索隊もいったん引き上げていった。
 しんと静まりかえった夜のキャンプ場で焚き火をし、飯を食った。ふだんは眠る前に消すランタンだが、この夜はつけっぱなしにしておいた。もしかしたら、どこかでこの光を見つけてくれるかもしれないと思ったからだ。

 その後、遭難者はけっきょく不帰の客となったと聞いた。湖面に映えるランタンが、せめて彼岸を照らす光となっていればいいのだが。

2006.05.30

bottom of page