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たそがれランディング

熱気球には動力も舵もない。高度はバーナーの焚きかげんで調整できるが、行くえは風まかせだ。気まぐれな風にふわふわ流されてゆく熱気球は、いかにも役立たずな乗り物にみえる。
モンゴルフィエ兄弟が発明した熱気球が世界初の有人飛行を成しとげたのは1783年のことだ。以来、人類は着実に飛行技術を進歩させてきた。いまの技術なら、成田からほんの一眠りのうちにニューヨークに降り立つことも、研究者が宇宙へ飛ぶことも、隣国に爆弾を撃ち込むことも難しくはない。
それでもこの世界の空には、いまだに古くさい熱気球が飛んでいる。一見なんの役にも立たないようだが、人間の夢を乗せるだけなら、このくらいの乗り物がちょうどいいからかもしれない。
2006.10.17
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